芝居

渋谷で蜷川演出の「あわれ彼女は娼婦」を観た。
戯曲自体に興味はなかったんだけど、70歳を超えた蜷川演出をあと何本観れるんだろうか?などと失礼な想像をしてしまうとね、少しでも観ておこうかという気になってしまうのです。
劣化したシェイクスピアという印象が最後まで拭いきれず、な舞台でした。ロミオとジュリエットと被る点が多い、というか同じ蜷川演出のロミジュリと似たようなキャストなのでどうしても比較せざるを得ない。こちらは兄妹の近親相姦の話という、より道ならぬ恋をうまく扱いきれてない…というかちょっと引きました。メインプロットに複数のサブプロットが絡み合ってラストまで高まっていくというシェイクスピア戯曲の長所とどうしても比較してしまいますね。何のために出てきたのか分からんサブキャラが結構いたり。ラストの不条理な展開にも思わず苦笑。現代では考えられなくてある意味新鮮でした。
深津絵里の演技が良かったですけどね。劇場内に広がる透き通った声は何度聞いても心地よいものです。これはTVや映画じゃ分からなくて芝居の時だけ分かる良さじゃないかな。
道化的な役を演じた高橋洋も好演。どうでも良いキャラではあれど彼がいなければより味気ない芝居になってたはず。