覚悟のススメ(1996年)

1話
監督 平野俊弘 脚本 酒井あきよし 演出 元永慶太郎 
絵コンテまついひとゆき キャラクターデザイン 作画監督 渡部圭祐
原画 
西岡忍 長谷川眞也 吉本拓二 松竹徳幸 市川吉幸 鈴木博文 森利夫 星和伸 
飯田宏義 岡辰也 高木弘樹 斎藤久 瀬上幸雄 石野聡 紺野直幸 守岡英行 
木崎文智 大塚健 高橋とおる 村松尚雄 斎藤恒徳 小岐和弘 木下ゆうき 
山根理宏 梶原賢ニ 鈴木竜也 鈴木卓也 橋本敬史 山田誠 清水勝祐 松本文男


2話
監督 平野俊弘 脚本 酒井あきよし 演出 元永慶太郎(St.HALF X) 
絵コンテ まついひとゆき キャラクターデザイン 総作画監督 渡部圭祐 作画監督 山根理宏
原画
青木真理子 石田敦子 伊藤嘉之 大久保修 大倉雅彦 大塚健 大橋誉志光 
大張正己 木崎文智 木下ゆうき 近藤高光 紺野直幸 後藤圭二 斎藤久 鈴木博文
瀬上幸雄 高谷浩利 名村英敏 名和宗則 橋本敬史 平山円 細山正樹 堀井久美 
松田宗一郎 宮澤努 西岡忍 二瓶勇一(五十音順)


渡部さんと原作絵の親和性が見事なOVA。渡部さんを連れてきた人(?)、エライです。
後で原作と見比べてみると忠実に描いているというわけでもないのに、観ている間の印象としては原作絵そのまんまであり、同時に渡部さんの個性も損なっていない。相性がよかったんでしょうね。
金田系作画が炸裂しまくる「アイドルプロジェクト」や「じゃじゃ馬〜」のような作品を期待するとちょっと裏切られるかもしれません。渡部さんの仕事としては星海シリーズと丁度中間に位置するような作品なのかな。
それにしてもこの豪華原画陣ですよ。一応葦プロ作品とはいえ、葦プロキャパの人は数人程度で、殆ど作監のつてで集められてるんでしょうね。2巻でわざわざ五十音順と表記されているのは載る順番で揉めたのではないかと勘ぐってしまうほど(笑)。この時期だとレイアース繋がりもあるのかな。


個人的なベスト作画は2巻で看護婦姿の敵が台所に腰掛けたことによって覚悟にビンタされるカット。
「口に入れるものを調理いたす場所に尻や足を乗せるとは何事か!」
大真面目でこんな台詞を吐く覚悟自体も笑えるのですが看護婦の体つきと、床でバウンドする際のはっちゃけた動きが相まって非常にインパクトがありました。このエロスと金田系作画を両立できるのは斎藤久さんだと思うのですが…。


この作品は作画アニメであると同時に声優アニメでもあります。覚悟の山寺宏一に散様の緒方恵美、朧が柴田秀勝、敵キャラはハム子が勝生真沙子、看護婦が宮村優子、永吉に青野武とこんな感じ。覚悟や散のカッコよさもさることながら、敵雑魚キャラ?の暴走っぷりは一見に値すると思います。
で、極めつけはヒロイン堀江役の堀江美都子ですか。自分はアニメから入ったのでこのキャラに堀江美都子を持ってくる音響監督のセンスに舌を巻いたのですが、原作既読の人は当然ともいえるキャスティングなんですね。名前は堀江罪子、堀江美都子その人からネーミングされているのですから。単純に原作者の公私混同と侮れない魅力的なキャラクターに仕上がっています。


良く出来た作品だとは思うのですが、何か物足りなさが残るのも確かで。
2話完結ということで構成(特に過去回想の挿入方法)をいじっているとはいえ、基本的に原作に忠実なアニメ化なのに原作を読んだ時ほど熱い気持ちになれないのはどうしてだろう?
やはり漫画と映像の文法の違いなんでしょうかね。表面上原作をそのままなぞっていても本質的には到達出来ないというか。原作ですぐさま思い出されるのが二ページぶち抜きでキャラのドアップに「一 撃 必 滅」とかデカデカと書かれているコマ割(?)。このインパクトをアニメでやるなら1カットで収めてはいけないんでしょうね。漫画の見開きぶち抜きは映像の一カットと同等にあらず。もっとシツコイくらいにハッタリを効かせないと(寒くならない程度に)原作と同じ印象を与える事にはならないのでしょう。原作を読んだ時にまず感じたのはこの作者はふざけているのか大真面目なのか?ってことでした。常人にはおふざけにしか見えない台詞(や展開)を作者は本気で信じこんでいるのかもしれない、と一寸でも思わせることが出来たら熱血漫画として成功なんでしょう。


この作品DVD化もされてるんすね↓自分が知らなかったもんだからマイナーなOVAかと思い込んでました。
覚悟のススメ