先週から映画ばかり観てます
仕事の参考映像探しというのが建前ですが普通に楽しんで見てます。今の部屋に引っ越して半年、長尺ものを観る習慣が漸くついてくれました。
HOUSE
大林宣彦のデビュー作らしいです(?)。これがまたぶっ飛んでいて驚きました。とても処女作とは思えないやりたい放題っぷり。当時売れたのかどうか知りませんが干されなかったということはそこそこだったのでしょうか。人物をコマ撮りする、サイレント映画風になる、マットペイントの背景の手前に同じような風景の看板を置いてメタな遊びをする、…などなど。光学合成を多用した映像はCGに慣れた身にはかえって斬新でした。ジャンル的にはホラー映画ということになるらしいですが、思いついたアイディアを徹底的につめ込んだごった煮状態なので個々のアイディアは面白いものの、全体的に散漫な印象になるのは否めません。まぁ、そんなことは当の監督自身も分かっているはずで"それでもやらずにはいられない"若気の至り的なフィルムになっており、個人的には好みです。
「劇場板エースを〜」のような時代錯誤的な(当時としては普通だった?)女子高生の会話シーンもポイント高いですねぇ。恥ずかしすぎて。例えば「エッチスケッチアフターG」という台詞に大爆笑でしたね。自分はかろうじて知ってる世代ですが、20代前半の人だともう知らないんじゃないかな。

転校生
同じく大林作品。オレがアイツでアイツがオレで、というやつですですね。今更初見です…。
小林聡美尾美としのりの演技につきますね。本当に入れ替わってるとしか思えない。もとに戻った時に「あ、普通に男(女)だったのね」と素で驚いている自分がいました。
途中で出てくるSF好きの女子高生が相当イカしたキャラだったのに出番が少なかったのが残念‥。
尾美としのりも今ではクドカン作品であんなことになってしまってねぇ…。

パッチギ!
またこの監督さんは、性懲りもなく日々高校生が喧嘩し続ける映画を作ってるのか…と停止ボタンをいつ押そうか我慢して観ていたら、だんだん印象が変わってきました。
なるほど、要するにこの映画はロミオとジュリエットなんですね。
橋を隔てた日本人側がモンタギューで日本に住む韓国人居住区がキャピュレット。顔を合わせれば喧嘩を始める日本と韓国の高校生の間で惹かれあっていく男女。韓流ブームなど存在しない60年代の日本、国籍の異なる二人が恋を成就するにはあまりにも大きな壁が存在し、憎しみの連鎖は永遠に続くのだろうか?と暗澹たる気分にさせられるのです。ロミジュリだとラスト、大公の言葉によってデウスエクスマキナが起きる(二人が死んだ後ではありますが)けれども、あちらは所詮創作の世界であって現実ではそう簡単に世界が変わるもんじゃない。ですが、映画のラストで監督は広い暗闇の中に小さな希望を残しておいてくれます。これすら映画じゃんと言ってしまえばそれまでだけれど、自分にとっては感動的なラストシーンでした。おーるにーどいずらぶ。某番組で偏った意見を言っている同一人物とは思えませんね。

ターミナル
一人で海外なんてとてもじゃないけど行けない、と馬鹿な感想。
あまりにも出来すぎたストーリー展開を白々しく感じるが、こういうベタベタなのもまた好みではある。

イン・ザ・プール
精神を病んだ三人の現代人と精神科医のお話。
時効警察三木聡監督作品だけあって、ナンセンスなギャグが炸裂しまくる秀作です。時効警察ナイロン100℃あたりの作品が好きな人にお勧め。
精神科医を演じるのは松尾スズキさんです。いい加減、チャランポランで患者を治す気があるのかどうかも怪しい。こんな医者が実際にいたら迷惑なことこの上ないが、映画なので他人事として徹底的に患者たちを笑ってあげる(んだけどあまり他人事とも言ってられなかったりするんだろうね…誰にでも可能性のある問題なんでしょうから)。

他に
座頭市、シッピングニュース、ファイトクラブをながら見。

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